タイヤのひび割れに許容範囲はある?ひび割れ原因もあわせて解説!
自動車のタイヤにひび割れが確認されると、その後どのように対処すべきかがわからなくなることもあるかもしれません。
そこで、タイヤのひび割れに対する判断基準やタイヤの構造を知っておくと、その後の対応がスムーズに進むと予想されます。
そこで今回は、タイヤのひび割れに対する許容範囲やひび割れの原因を解説します。
目次
タイヤのひび割れはどこまで許容すべき?
タイヤのひび割れ(クラック)には、数値で表せるような客観的な許容範囲が存在しません。
そのため、『一般社団法人日本自動車タイヤ協会』が、「タイヤ安全ニュースNo.72」にて以下の判断基準を提示しています。
クラックがタイヤ内部のコードに達しない限り継続使用は可能
また、上記の資料は写真とともにクラックの発生レベルを分類して紹介しています。
したがって、タイヤのひび割れの度合いは現物と写真を比較し、必要に応じて販売店などの専門業者に相談すると良いでしょう。
タイヤの構造を知ってひび割れに備えよう!
タイヤの構造は、内側から以下の順で構成されています。
1.インナーライナー
タイヤの最も内側に配置されており、タイヤの気密性を保つ役割を持つ
2.ビードワイヤー
コード(カーカス)をホイール側に引っ張る役割とタイヤをホイールに固定する役割を持つ
3.コード(カーカス)
タイヤの骨組みの役割を果たし、外部からの衝撃や自動車の荷重を受け止めたり、内部の空気圧力に耐えたりする役割を果たす
4.ベルト
タイヤのトレッド部(タイヤが路上に接する面)においてコードとゴムの間に配置され、コードの締め付けやトレッド部の変形を軽減する役割を果たす
5.ゴム
ゴムは、タイヤの最も外側に位置したパーツで、老化防止剤というタイヤを外部環境や経年劣化から守る役割を持つ溶剤が配合されている
上記のように、コード(カーカス)はタイヤの根本的な役割を担っているため、コードがひび割れによって破損すると、タイヤの内外部から来る衝撃に耐えられなくなることがわかります。
したがって、ひび割れの判断基準を「ひび割れがコードに達しないこと」としている妥当性が見えてくるのではないでしょうか。
タイヤのひび割れはどのようなケースで発生するの?
前項では、タイヤのひび割れに対する判断基準をタイヤの構造を交えて紹介しました。
では、タイヤはどのようなケースにおいて、ひび割れが生まれるのでしょうか?
本項では、タイヤのひび割れが起こる主なケースを4つ紹介します。
タイヤの空気圧が不足しているケース
タイヤには、型式ごとに適正な空気圧が定められています。
タイヤの空気圧が低下すると、タイヤ本来の形を保って運転することができません。
すると、タイヤにおける強度の弱い箇所に負荷が集中する可能性があり、ひび割れの原因になりえます。
また、重量物や乗車定員よりも多い人数を乗せるケースでも、タイヤに過剰な負荷が掛かるため、ひび割れの原因につながるケースを否定できません。
したがって、定期的な空気圧の確認や乗車定員を守っての運転が、タイヤのひび割れ防止につながると言えるでしょう。
洗浄や油性ワックスの塗布を頻繁に行なうケース
タイヤのひび割れは、過度な洗浄や油性ワックスの塗布によって発生するケースがあります。
タイヤのゴムには、老化防止剤を含むさまざまな溶剤が配合されており、頻繁に洗浄することで配合された溶剤がタイヤから落ちてしまう可能性を否定できません。
また、老化防止剤は親油性の溶剤も多く、油性のワックスを塗布する場合には、老化防止剤がタイヤから溶け出すケースがあります。
そのため、タイヤの洗浄はできるだけ控え、水性のワックスを使うとひび割れの発生を防げるでしょう。
紫外線やオゾンを多く浴びるケース
紫外線は、ゴム自体を劣化させる作用があるので、屋外で保管する場合にはひび割れへの配慮が必要です。
一方、オゾンもタイヤに悪影響を及ぼすことで知られており、オゾンとゴムが化学反応を起こすと、ゴムが分子レベルで切断され、亀裂を生じさせます。
また、オゾンは空気中の酸素が雷による放電や紫外線による影響を受けて発生します。
したがって、紫外線を防ぐために屋内での保管を心がけたり、屋内でもオゾンの発生しやすい高圧電流や紫外線を発する水銀ランプに注意を払ったりすることが必要です。
自動車をあまり運転しないケース
自動車をあまり運転せずに、長期間において放置した場合もタイヤのひび割れにつながる可能性があります。
その理由は、タイヤが長時間にわたり一定の方向に力を受け続けるからです。
上記の場合、タイヤの特定の箇所に負荷が集中し、その箇所に疲労が蓄積します。
すると、次第に他の箇所との劣化度合いに差が生まれ、ひび割れへと発展していきます。
したがって、自動車を適度に運転することにより、タイヤに掛かる負荷を分散させることもタイヤのひび割れに一定の効果があると言えるのではないでしょうか。
タイヤのひび割れに許容範囲はある?ひび割れ原因もあわせて解説!まとめ
今回は、タイヤのひび割れを許容できる範囲について解説しました。
タイヤのひび割れは、紫外線などの大気中の物質やタイヤの空気圧低下から影響を受けることがわかりました。
本記事を参考に、自動車の適切な運用および保管を心がけて、タイヤのひび割れを少しでも防ぐ一助になれば幸いです。